2009-01-01から1年間の記事一覧

国立劇場・十二月歌舞伎公演

「頼朝の死」は真山青果の作。前半はサスペンス仕立て?になっており、死の(トホホな)真相が次第に明らかになってゆく。二代将軍の頼家を吉右衛門が、言葉は悪いが「若作り」で演じているのだけど……若者の青臭く神経質な感じが出ていて、巧い!と思わず叫…

吉村順三『火と水と木の詩―私はなぜ建築家になったか』

火と水と木の詩―私はなぜ建築家になったか作者: 吉村順三出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/11/01メディア: 大型本購入: 3人 クリック: 10回この商品を含むブログ (5件) を見る何かと気ぜわしかった連休中、くつろいで読むことの出来た一冊。生活、住まい…

『少将滋幹の母』『蓼喰う虫』

谷崎潤一郎『少将滋幹の母 (新潮文庫)』、『蓼喰う虫 (新潮文庫)』を続けて読む。『少将……』は晩年の作。『蓼喰う虫』は昭和初期の作。モダニズム風味あふれる。テーマの分裂、過渡期、といった評語があたりそう。岩波文庫版の挿絵がよいらしいので、そっち…

イッサーリスのリサイタル

仕事の後、横浜へすっ飛んで行って、スティーヴン・イッサーリスのチェロ・リサイタルを聴いてきた。神奈川県民ホールは昭和っぽさの残る建物で、しっとりと落ち着いた雰囲気。前方の席だったためか、めずらしくステージを見上げる形でした。こんないい席で…

内田樹『私家版・ユダヤ文化論』

内田樹の『私家版・ユダヤ文化論』を読了。とにかく文章に勢いがあって、読みながらさまざまに触発される本だった。もとは講義録だそうで、ライブ感がある。論旨がでこぼこしたり、回り道したり、そんな中から、輪郭のない影のような……「ユダヤ的」という観…

プリーストリー『イングランド紀行』

イングランド紀行〈下〉 (岩波文庫)作者: プリーストリー,J.B. Priestley,橋本槇矩出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2007/09/14メディア: 文庫 クリック: 8回この商品を含むブログ (9件) を見る派手な盛り上がりはないけれど、じわじわと心にしみてくる文章…

アートフェア

国際フォーラムのアートフェア東京2009へ。ざっと眺めてきただけなんだけど、野心的でギラギラした作品が少ないというか、淡泊な感じでした。よく時代を映しているなーと思った。

桜の季節

この週末に間にあわせたみたいに桜が咲きほこっている。車で狭山の貯水池(多摩湖)に行って来た。薄曇りで絵のような風景。大正時代の取水塔がまだ残っていて、かわいらしかった。

「生活と芸術 ー アーツ&クラフツ」展

東京都美術館の「アーツ&クラフツ」展に行って来た。三国荘の再現はなかなかよい感じ。実際に住まうのなら、もう少しそぎ落としてもいいかもと思った。 ウィーンのアーツ&クラフツ運動が、近未来的で面白かった。テクノっぽい。ミッドセンチュリーを先取り…

谷崎潤一郎『細雪』

細雪(上) (新潮文庫)作者: 谷崎潤一郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 1955/11/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 26回この商品を含むブログ (107件) を見る去年の夏ごろから読もう読もうと思いつつ、やっと手を付けた『細雪』。とても面白くて堪能した。…

E.M.フォースター『ハワーズ・エンド』

ハワーズ・エンド (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-7)作者: E・M・フォースター,吉田健一出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/05/12メディア: 単行本 クリック: 21回この商品を含むブログ (31件) を見るフォースターの『ハワーズ・エンド』、吉田…

『田村はまだか』

『田村はまだか』を読んでみた。これって、「ゴドーを待ちながら」だよね。まあ、いろいろな人が言っていることだとは思うけど。 文体に確固たる強さのようなものを感じた。書き手は熟練の人だ、という印象を受けた。あと、バブル世代な感じ。(人生に立ち向…

白洲次郎ドラマ

白洲次郎の伝記ドラマの第1回を見てみた。『ハゲタカ』以来の、NHK入魂の一作、て感じで、気取りまくった演出に笑いが止まりません。待ってましたッ、てな大向こうが今にも聞こえてきそうよ。 画面は広角ぎみ、露出オーバーぎみなコゲた色あいで、濱谷浩の…

mimo cafe@浜離宮

遊佐未森のひなまつりコンサート。去年に続き、女子限定の日に行きました。4列目でとてもよい席だった。未森さんの声ものびやかでよく通り、選曲も好みなものが多くて、陽気な春めいた気分に。うっとり聞き惚れてました。

『日本語が亡びるとき』

水村美苗『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』を読了。これも時の本らしくて、図書館では予約がびっしり。一章の、アイオワ大の文学者サマーセミナーのレポートが興味深かった(このプログラムは、田村隆一も参加したやつに違いない)。結論部は盛りあが…

これって花粉症?

おとといから体調が悪い……。くしゃみ・鼻水・ノドの痛み。風邪薬を飲んでみたら症状は緩和されたけど、時期的に、花粉症のような気もする。今日は発表会のリハーサルがあった。12名くらいで、思ったより短めの時間ですんだ。本番は来週。他の人が弾いたうち…

温泉旅行

この週末は、群馬の温泉に行ってのんびりしてきた。温泉のほか何もない町。山あいの谷、といった感じの地形。川の水音がごうごうと響く。ところどころ、廃墟となった旅館が、看板もそのままにうち捨てられている。道をゆく人の姿もまばら。コンビニすらなく…

『甦る中山岩太:モダニズムの光と影』

仕事の後、東京都写真美術館へ。木金は20時まで開館している。 中山岩太は、阪神間モダニズムを代表する写真家のひとり。20年代の作風のほうが好みだけど、それらは「誰でも撮れそうな」写真ではある。日本に帰国してから、実験的でアバンギャルドな方向へ。…

『わたしの渡世日記』

「デコちゃん」こと高峰秀子の自伝。ゴツゴツ?とした歯ごたえのある文体で、一昔前の東京っ子の喋り口調のよう。いったん読み出したら止まらないおもしろさ、でした。 高峰秀子は(現代の)女子にも共感しやすくて、人気の高い女優だと思う。小津映画での跳…

めずらしく日本橋

日本橋のビストロ・デ・のんきで夕食。元同僚の女の子たちと。 ほうれん草、照り焼きチキンのサラダ(茹でてないほうれん草なのが珍しかった) オムレツ 蟹とアボガドのブルスケッタ 豚肉のにんにく包み揚げ 生うにパスタ あともう1品マグロのあぶり焼きみた…

『ゴンチャローフ日本渡航記』

ゴンチャローフ日本渡航記 (講談社学術文庫)作者: イワン.アレクサンドロヴィチ・ゴンチャローフ,高野明,島田陽出版社/メーカー: 講談社発売日: 2008/07/10メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (8件) を見る『ゴンチャローフ日本渡航…

『双生児』

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 120回この商品を含むブログ (108件) を見るクリストファー・プリーストの『双生…

『X-MEN ファイナル・ディシジョン』

けっこう好きなシリーズだったのに、ラストはなんだか投げやり……がっかりとまでは言わないが、ペーソス漂う終わらせ方だった。連載打ち切りになった「少年ジャンプ」のマンガみたい。 または、『水滸伝』や『封神演義』の後半みたい、とも言える。 赤毛のフ…

ジョン・ウーの『レッドクリフPart 1』

鳩と爆発とスローモーション。健在ですね。 映画ならではのダイナミックな表現は楽しめた。戦闘シーンがちょっと重すぎて、観ていて疲れたけど。一応、後編も観に行くつもり。

『エターナル・サンシャイン』

ミシェル・ゴンドリー監督の2004年の映画。公開当時、ニュージーランドに滞在していたので、見に行きたかったのですが、ヒアリングに全然自信がなく、結局あきらめたのです。 わからないなりに、観ておけばよかったかも。と、今回はじめてDVDで観て、ちょっ…

ヘレン・ミレンの『エリザベス』

年末にBS2で再放送された海外ドラマ。前後編。 小粋なせりふの応酬、凝った舞台装置など、とても見応えがあった。ヘレン・ミレンの演じる女王には、威厳と迫力、知性と愛嬌がそなわっていて魅了される。それから、時おり見せる脆さ。激情に駆られたあと、す…

食い初め

すきやきYで新春限定の2時間コース。 前菜が、まぐろと白葱の酢みそ和え。 メインのすきやき。(味付けは甘辛でこってりしすぎ……) 〆のゴハン、赤出汁、お漬け物。 デザートは白ごまプリン+黒蜜。 風邪気味のため、食前酒はパスしてぶどうジュースをいただ…

『アフリカの日々』

アフリカの日々/やし酒飲み (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-8)作者: イサク・ディネセン,エイモス・チュツオーラ,横山貞子,土屋哲出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2008/06/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 29回この商品を含むブログ (46件)…

最初のひとこと

「うたたね」という語を入れてみたくて。眠たい時は幸せな時、ではないかと思う。人間、油断していないと眠たくはならない。油断できるほどには幸せだということ?なんか小説のタイトルみたい。石川淳に『蛇の歌』という小説がある。式子内親王の歌、 「夢の…