『双生児』
- 作者: クリストファープリースト,Christopher Priest,古沢嘉通
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2007/04
- メディア: 単行本
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戦争を背景に、双子の運命の「分岐」をテーマとしている点は、アゴタ・クリストフ『悪童日記』の三部作を連想させます。背筋を伝う冷や汗のような不穏な感覚が、読み進めるほどにじんわり増してくるのも、なんだか似てる。
戦争場面の繰り返しは、あまり興味がもてなかった……けど、丁寧な心理描写や、ときに叙情の混じる風景描写など、かなり文学的で、堪能しました。プリーストは、この頃ますます好きになってきた作家のひとり。
文章力はものすごいけど、ちょっぴりワキが甘いというか、茶目っ気があるのもよいところ。昔はやってたサウンドノベル「かまいたちの夜」を思い出した。大まじめに読まないほうが楽しめるのかも。