『双生児』

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

双生児 (プラチナ・ファンタジイ)

クリストファー・プリーストの『双生児』を読了。かなり難解な仕掛け。巻末の解説(大森望による)を頼りに、なんとか物語の迷宮を抜け出した。SFとミステリとホラーの絶妙なブレンド
戦争を背景に、双子の運命の「分岐」をテーマとしている点は、アゴタ・クリストフ悪童日記』の三部作を連想させます。背筋を伝う冷や汗のような不穏な感覚が、読み進めるほどにじんわり増してくるのも、なんだか似てる。
戦争場面の繰り返しは、あまり興味がもてなかった……けど、丁寧な心理描写や、ときに叙情の混じる風景描写など、かなり文学的で、堪能しました。プリーストは、この頃ますます好きになってきた作家のひとり。
文章力はものすごいけど、ちょっぴりワキが甘いというか、茶目っ気があるのもよいところ。昔はやってたサウンドノベルかまいたちの夜」を思い出した。大まじめに読まないほうが楽しめるのかも。