チェロ弓の毛替え

先日、渋谷の楽器店で毛替えをお願いしてきた。都内には弦楽器の有名店がいろいろあるけど、アマチュアにとって敷居が高いというか、はっきりいって接客に難がある……。いつもイヤーな気持ちですごすご帰ってくることが多かった。やっと、親切な対応でフツーにお買い物できる弦楽器店にめぐりあえました。
こちらです→ マリオルッチ |

2CELLOS(初回生産限定盤)(DVD付)

2CELLOS(初回生産限定盤)(DVD付)

Youtubeでセンセーションを巻き起こした若手チェリスト2人のデビュー盤。タワレコで試聴してきました。音だけ聴くと飽きがくる……と、チェロ関係のブログでも噂されていたけど、たしかに、最初に映像で見たときほどのインパクトはないかも。
チェロは音質がもっさりしているせいか、アップテンポな曲をやると、どうしてもカッコよく決まれない面があるのかも?

神童が世に出るとき

日本音楽コンクールのチェロ部門本選に誘ってもらい、迷ったすえ思いきって行ってきました。なかなか一般人には聴く機会もないものだし……。チェロ部門は、3年に1回しか開催されないとのこと。以前に八王子のカサド・コンクールをのぞきに行ったことがあるけど、まだ1次予選だったので、本選で本格的にコンチェルトを聴くのは初めてです。
前回のカサド・コンクールで奨励賞を受賞したという、岡本侑也くんがラストの奏者として登場。それまでの3名も難曲を表現力ゆたかに演奏していた……と思ったのに、岡本くんの安定したテクニックとずば抜けた音楽性に、すべてかっさらわれていき、会場は異様なまでの熱気に包まれたのでした。まだ高校生。やー、天才ってすごいものですね。のびやかで美しい、きらきらしたハイドンを聴かせていただき、魂が宙に浮くような思いを味わいました。彼にはぜひ、名演奏家として世界に羽ばたいていってほしいです!

横浜トリエンナーレ 2011

現代アートの国際展、今年で10年めを迎える横浜トリエンナーレに、はじめて行ってみました。以前は、現代アートに対して「たいくつー」「意味わかんない」的なイメージしか持っていなかった……。でも、旅先で訪ねたビルバオグッゲンハイム美術館や、金沢21世紀美術館がとても楽しかったので、最近ではわりと苦手意識が薄れてきた。一種のテーマパーク?みたいな気分で、楽しめるようになりました。
今回の展示では、次の3つの要素を満たしているものがよかったです。

その1、動きがある。(または、観客が自由に動かせる)
その2、空間を感じられる。
その3、五感を惑わせる。(世界の見方をひっくり返すような、ちょっとした驚きを与えてくれる)

アートで町おこし的な最近のブームについては、何となく思うところもあるのですが。だって、アートって、秩序を破壊するものなのに。それが公共事業になるってのが、ねえ。でも、接点のなかった人と人をつなぐ契機なのかもしれず。思いがけない動きが生まれ、固定されていた場がシャッフルされる。そしたらやっぱ何かが乱れて、破壊されることになるんだろう。それはそれで、いいことのような気がする。

『サヴァイヴィング・ライフ』

ヤン・シュヴァンクマイエル監督の新作は、シュールな切り絵アニメ(ときどき実写)で、夢の世界と現実を行き来する主人公の奇妙な「自分探し」がテーマになっている。ストーリーらしきものがあり、きちんと謎解きが進んでいくので、この監督の作品のなかでは、ずいぶんわかりやすいほうかも? 
70代なかばを過ぎても、シュヴァンクマイエルの妄想力は衰えを見せず、人をくった表現にも磨きがかかっている……。監督、いつまでもお達者で、奥様のエヴァさんのぶんも長生きなさってくださいね〜。と、心の中で祈った私なのでした。

メルニコフのショスタコーヴィチ

何気なく新聞を見ていたら、来年のメルニコフ来日公演の広告をみつけた。昨年出たショスタコーヴィチのプレリュード集、かなり評価が高かったようで期待できそう……。あわててCDを購入し、チケットも予約しました。(けっこういい席をゲットできたので楽しみです!)
メルニコフの演奏は抑制が効いており、超絶技巧をそれと感じさせない。知的で洗練された、現代の模範的なクラシック演奏、という感じで、好きなピアニストのひとりです。ロシア出身ですが、近年はずっとベルリンを拠点に活動している模様。

難民という生き方

メカスの難民日記

メカスの難民日記

リトアニア出身の映画作家ジョナス・メカスによる青年時代の日記。とても面白かった。『どこにもないところからの手紙』では、この人のナイーブさが鼻につく気がしたものの……。若い頃の苦難の日々を知って、印象が改まりました。すみません。
メカスの感覚って本当に現代的。大戦期の混乱を生き延びたこの人は、世紀をまたぎ、自分のサイトでビデオ日記を更新するお爺ちゃんになっています。若かった頃と、やってることは基本的に変わってないんだなー。本質は「詩人」なのでしょう。居場所のない者が、外側から世界を眺めるとき、すぐれた詩が生まれてくるんだと思います。
困ってるひと

困ってるひと

そして時代も場所も違うけれど、思わぬ苦難におそわれて「難民」となってしまった若者の言葉、という点ではメカス日記に通じるものが。今ちょうど話題になっている、大野更紗さんの闘病記。これもヘビーな現実をがっちり受けとめ、軽やかな言葉で綴った傑作でした。
語り口があまりに面白すぎて、あれ?これってホントは深刻な話だったよね……と、途中で我に返ることしばしば。

『この世の涯てまで、よろしく』

この世の涯てまで、よろしく

この世の涯てまで、よろしく

ふと気づいたら、生き返ってカフェに座っていたアルトゥア……50年前に死んだはずなのに? 元ピアニストの彼は、現代の音大生たちと知り合い、自分の「よみがえり」の秘密を探るため奮闘する。そんな中、音大の構内であやしい殺人事件が起こり、アルトゥアが容疑者にされてしまう。生前の記憶も少しずつ戻ってきて、意外な真実が明らかに……。
という感じでストーリー展開はとても面白いのですが、新人作家なので描写はけっこうぎこちなく、登場人物も多くて冒頭あたり混乱しました。でもちょっぴり初期のファンタジーノベル大賞の作品(あ、日本の賞ですよ)たちと似た雰囲気で、なつかしーー、こういうの好きだった!とワクワクしながら読めた。音大生たちのドタバタ劇なので、「のだめ」の二ノ宮さんに表紙描いてもらえば絶対売れるのに……などと思ってしまった私。この表紙もオシャレで可愛いんですけどね。