パリ・オペラ座「バレエ・リュス」ガラ

昨年12月の公演。テレビで放映しておくれーーーと、日本の片隅から念じていたら、NHK教育の「芸術劇場」でやってくれました。嬉しかった。
「バラの精」はフォーキン振り付け。音楽はチェロの独奏からはじまる。バラの精がすごく色っぽくて、こんなに豊潤な演目だったの?と、目から鱗が落ちた。少女も可憐でひたすらうっとりでした。歌舞伎の舞踊の「二人椀久」ぽい。
「牧神の午後」はニジンスキー振り付け。とても緻密で繊細な舞台……素人目には隅々までカンペキに見えました。舞台美術もゴージャスで、ギリシアの壁画を模したという振り付けがいっそう引き立つ。これも歌舞伎の「保名」にラストが激似。
「三角帽子」はマシーン振り付け。スペインのフラメンコを取り入れてある。衣装や美術はピカソ。初見でストーリーがよくわからなかったのだけど(三角帽子はどこに出てきたんだろ?)、たぶん『セビリアの理髪師』とか『フィガロの結婚』みたいな話……お偉いさんを庶民カップルが出し抜く!という話なのよね?
大好きな「ペトルーシュカ」は、またフォーキン振り付け。こうして並べて見てみると、フォーキンが一番(振付家としては)センスもあり、バレエ・リュスのレパートリーに貢献したのかもなぁ、と感じます。ニジンスキーはあまりにも前衛的で……現代の観客にとってすら、ちょっと「取っつきにくい」イメージがある。(あと、初期のバランシン作品は見たことないので、それもまた比べてみたいですが。)
さて、一番期待してた「ペトルーシュカ」なのですが、なぜかこれは、以前に生で見た東京バレエ団のバージョンのほうが気分盛りあがったのです……。初見だったから? 歌舞伎でいうなら「人形振り」の、ぎくしゃくした踊りっぷりが、日本人の小柄な体躯に似合ってたからでしょうか。主役のペトルーシュカの痛々しさも、首藤さんの踊りのほうが切なく心にしみました。とはいえ、オペラ座バレエ団のアンサンブルも本当にすばらしくて、気の強い女大道芸人ふたりが互いに張り合う場面など、ぷぷぷ……という感じで吹き出しちゃいました。