『世に棲む患者』

全4巻の中井久夫コレクション、続刊も楽しみ。第1巻は精神医学関連で、80年代の文章を集めたもの。うつ、統合失調症強迫症境界例など、さまざまなタイプの患者を(治療者からの接し方も含めて)解説してある。職場からドロップアウトして、趣味の友だちや好みの店を増やし、ひっそりと社会生活をいとなむ回復期の患者たち……そ、それって他人事とは思えない行動パターンなんですけど……。
幻聴や妄想のうしろに隠れている権力志向だとか、境界例嗜癖性(どうも患者と治療者の共依存らしい)とか、独裁者には強迫性格が多いとか、興味深い話題が多かった。