『黒檀』

黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

黒檀 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 第3集)

ポーランド出身のジャーナリスト、カプシチンスキによるアフリカ大陸の旅行記。あまりに文学的で、完成度も高いので、書かれていることがすべてフィクションであるような錯覚を覚えてしまう。読点を多用した翻訳は、少し独特なリズム感があり、最初はクセが強いと感じた……けど、読んでいるうちにそのリズムが染みついて、陶然としてくる。
印象的なのは、強烈な独裁者たちの肖像。ルワンダの二部族間の凄惨な確執も。それを描いたのが、第二次大戦を経験したポーランド人だということにも、きっと意味があるはず……。