ムロジェックの「タンゴ」

ポーランドの60年代の戯曲。演出は長塚圭史。ゴツゴツした男性的な訳語が飛びかうので、新鮮に感じた。米川和夫と工藤幸雄の共訳。(たしかに米川訳の主人公は「ぼく」より断然「おれ」が似合いそう……)観念的なせりふをナマのままぶつけあう、難解な芝居でした。コミカルな味つけで面白く見せようとする意欲は買うし、ところどころ成功しているのはすごい。主演の森山くんは、ハムレット的な悩める青年像を好演。あと吉鋼さんの存在感がすばらしかった。
コクーンの舞台がちょっと広すぎて、戯曲本来の閉塞感が薄まってしまったのは残念。今はなきベニサンピットとか、小劇場サイズで観たかった気もします。