ビントレーのペンギン・カフェ

初台のオペラシティにバレエを見に行く。ホワイエにワインとか西洋菓子の屋台(とは呼ばないと思うけど)が出ていて、ちょっとした縁日のようでした(笑)。
フォーキン振付の「火の鳥」は、バレエ・リュスの代表的なレパートリー。古典バレエのおとぎ話っぽい要素も残しつつ、後半かなり大胆に、モダンでスペクタクルな群舞が繰り広げられる。魔王のキャラクターのどぎつさがよかった! ラストシーンの舞台美術は、初演時のゴンチャロワのデザインを使用していたとのこと。この人の画風はアバンギャルドの半歩手前? ちょっと原初的な力強さも秘めている感じがして好きです。
バランシンの「シンフォニー・イン・C」はもう少し時代が下って、すっかりモダンバレエ。音楽を身体で「翻訳」していくような面白さがある。NYCBの来日公演もよかったけど、新国バレエ団の完成度はそれ以上かも……。日本人の気質とバランシン作品は、かなり相性がいいと思う。無機質で清潔な感じとか。個性を消して、全体に奉仕する感じなんかも。で、ふと思ったのはマスゲームっぽいというか、「社会主義的」でもあるということ……ロシアから亡命した振付家が、冷戦中もNYのど真ん中で毎年こういうのを上演してたんだから、不思議な(皮肉な?)気がしてきます。(本当はグルジア人らしい。でもってスターリンも……)
ラストはビントレー演出の「ペンギン・カフェ」。最初、ジャズエイジふうの小粋な着ぐるみバレエ……かと思っていたら、途中から雄大なジャングルにワープしちゃってびっくり。ものすごーく洗練された「ライオン・キング」のような世界観でした。やがて氷河期を迎え、暗闇に雪が舞い散る中、動物たちが右往左往する場面も幻想的でよかった。スケールがぐんぐん広がり、時間も空間も引きのばされていく感じが……。それに何しろペンギンが可愛すぎるよー。あのちょこまか歩きを、もうずっと観ていたい。