『賜物』

ナボコフ先生のロシア語時代さいごの長編。マニアックなロシア文学ネタや、多言語を自在に行き来する言葉遊びが散りばめられている。文体も凝っていて、語り手の人称がころころ変わる。とても難解だけど、詩的で映像的で音楽的なイメージの乱舞が、心地よく響いてくる場面がいくつもある。言葉でここまで構築できるんだ!という驚き。(しかし4章は先生、やっぱやりすぎでしょー)
「賜物」とは文才を意味するのかもしれないし、この小説そのものが未来の読者たちへの賜物なのだ、という著者の自負であるかもしれない。