「ロックンロール」

トム・ストッパード作、栗山民也演出。チェコスロヴァキアの現代史に翻弄された青年の半生と、英国の共産主義者である教授一家との心の交流を、ロックの名曲にのせて描いた傑作でした。小気味よいセリフの応酬、テンポのよい場面転換など、ストッパードの洒落っ気が生きてる演出だったと思います。
少人数での緊密なドラマになっており、戯曲の完成度が高い。チェコの歴史を知らないとわかりにくい場面もありますが……。ままならない人生をけんめいに生きた人々を描いた、という点では、時代や国を越えて響くものがあると思うのです。
キャストは皆さんすばらしく、とくに秋山菜津子さんが! 前半の知的でピリ辛なエレナも、後半の自堕落でキュートなエズミも、そこら辺にイキイキと実在していそうな(いや、こんなに素敵な人はそうそう歩いてないだろうけど……)女性像で、観ていて本当に楽しかったです。ヤンとフェルディナンドも、見るからにチェコ人の男の子っぽかったし……。武田真治のせりふが、ちょっと朴訥とした感じに響くのもよかった。市村さんは言うまでもなく巧すぎだー。
もし前方の席がとれたら、楽日前にもう1回行きたいと思います!

トム・ストッパード (2) ロックンロール ((ハヤカワ演劇文庫 27))

トム・ストッパード (2) ロックンロール ((ハヤカワ演劇文庫 27))