国立能楽堂・三月普及公演

馬場あき子さんによる解説がとても面白くわかりやすかった。『玉葉』の記事についてなど。頼政は気障な男だったらしい。武家は「家」を存続させるために、戦争では必ず両方の陣営に人を配しておく、という話なども考えさせられた。頼政の自滅的な死は単なる美学ではなくて、政治的判断だったのかも。
狂言は「鏡男」。わかりやすくコントのような感じでした。でも狂言を見るたび、昔から「お笑い」は差別(本質的な……)で成り立っているのだなーとも思い、フクザツな気分になる。
能は「頼政」で、修羅物。「三修羅」のひとつ。もうちょっと陰惨で重たいトーンなのかと思っていたが、今日はそうでもなく。怨霊というより、もっと人間くさい頼政像だったと思います。面が素人目にもすばらしい名品でした。謡の本文では「水の逆巻く所をば、岩ありと知るべし」が名文句で好き。