舞台『Anjin』

英語と日本語のバイリンガル企画。せりふが二重音声になって聞き取りづらい場面もあったが、意欲的な舞台で面白かった。脚本はイギリス人だったようで、桃山〜江戸時代黎明期の人間ドラマをシェイクスピア劇のような感覚で描いている。新鮮。そういえばシェイクスピアは家康とかと同時代人なのか……(『ハムレット』が西暦1600年ごろ)。
登場人物や事件を盛り込みすぎな印象で、これといった主題が浮かびあがらず、散漫になってしまったのが物足りない感も。舞台美術はスケールが大きくて見ごたえあった。
市村さんの家康の存在感はすばらしく、貫ロク充分。藤原竜也は色気のある役者なので、人間の欲望をほのめかすシーンでは光っていた。身体表現のほうが得意そうなのに、せりふに労力を割かれてしまってて……もったいない気もしますね。