『フリアとシナリオライター』

フリアとシナリオライター (文学の冒険シリーズ)

フリアとシナリオライター (文学の冒険シリーズ)

ポップな表紙につられて立ち読みしていたら、面白くて止まらなくなってしまった。リョサが自身の青春時代を振り返って書いた、自伝的な作品。重量級ボクサーが、オレ様は技だってすごいんだぜーと見せびらかしてる感じで、小粋なしかけが満載です。天才シナリオライターカマーチョが次々に書き飛ばす、劇中劇ならぬ小説内ラジオドラマが、どれもキャッチーで最高に面白いの。これぞラテン! 後半の盛りあがりもハラハラするし、オチもほんのり切なくて、文句なし。
「黒いロリータ」とでも呼ぶべき、ナボコフ先生へのオマージュもあってニヤリとさせられた。