法隆寺

下山して、近鉄とバスで法隆寺へ。雨でも風情があってよい感じ。格子窓から透かし見える紅葉がくっきり映えて、額縁にはまった一枚の絵のようでした。
法隆寺の端正な美しさ、どこか潔癖そうで、世俗のにおいを寄せつけようとしない、孤高の意志……それも、ものすごく強くて固い意志みたいなものが、長い時を越えて、静かに屹立しているのを感じました。
ちょうど夢殿が開いてる時期で、はじめて本尊に対面。それから百済観音にも久しぶりに再会できた。お隣の広隆寺弥勒菩薩を見にいったら、解説を聞いているうちに、とろーりと穏やかな眠気に包まれました。
十代、二十代、三十代と、それぞれの時期に訪ねた法隆寺の印象が、記憶のなかに積み重なり、混ざり合って、自分の人生の伴走をしてくれているようでもあり、そうやって常に変わらず(時には少しずつ変化しながら)待ち続けてくれている場とか雰囲気の「たたずまい」のようなものに、心の深いところで支えられる感覚、そこらがどうも文化とか歴史のある国に育った「ありがたみ」なのかネー、と思ったのでした。