『メイスン&ディクスン』

図書館で次に待っている人がいるので、ものすごく焦りつつ、なんとか期日内に読了。そんな慌ただしい読み方に、ぴったりな小説だったかも……。まず、トマス・ピンチョン現代文学の難解な作家、というイメージでしたが、(たしかに難解、というか読者に不親切ですが)意外に親しみやすいというか、笑えるなーという印象でした。その「笑い」は、モンティパイソンに近い!気がします。うわー、毒っ。でもニヤリ、て感じで。
あと主役のメイスン&ディクスンをはじめ、キャラクターが魅力的だったりヤバめだったり、チョイ役の人もふくめて、みんな生き生きしてる。お気に入りが何人もいるんですが、双子とテネブレーとか、フランスから来た料理人(と鴨)とか、一度読んだら忘れられないインパクト。ていうか、時計とか鴨とか喋ってるからね。フツーに。
そのうちメイスン&ディクスンが、弥次さん喜多さんみたいに思えてきて……そしたらフランクリン博士は平賀源内?とか……。パワフルで猥雑な雰囲気が、江戸の戯作とも通じてる気がしてきて、なんだか面白かったです。そう、ピンチョンの世界には、本邦の近代文学が捨て去ってしまった、洒落や諧謔の精神が、あざやかに息づいてるみたいなのです。
なんだ、文学って、やっぱこっちじゃん?という明るい気持ちで読むことができて、よかったです。