『関与と観察』

関与と観察

関与と観察

戦争と平和についての話題が多い。2003-04年ごろのエッセイは、戦後の反戦厭戦?)気質から離れようとする社会の動きをふまえて書かれた、という感じがする。「自己責任」論が盛りあがっていた時期。それは、神戸の震災の「ボランティア精神」とは対極にありそうな感覚だけど……。95-04年の10年間に何が起こったのか、しみじみと考えてしまった。私の20代とほとんど重なってます。
現代社会に生きること」「現代における生きがい」には深く共感した。著者28歳の時の論考だそう。今の社会にも当てはまるし、(広い意味で)人々が精神の統合を失調し、社会生活が困難になる原因の本質をついていると思う。「須賀敦子さんの訳詩について」も印象的な文章でした。
関与と観察:みすず書房