『清陰星雨』

清陰星雨

清陰星雨

精神科医で翻訳者でもある著者が、90年から「神戸新聞」に連載していた随筆の単行本化。ちょうどソ連崩壊や、神戸の震災、地下鉄サリン、9.11テロなどの事件を含んでいる期間なので、歴史のうねりや日本社会の変容がビビッドに伝わってくる。とても面白かったし考えさせられた……。読みながらふと、寺田寅彦の随筆を連想するような箇所がいくつかあった。科学者でありながら文学にも親しい人の視点。