『クラバート』

クラバート

クラバート

プロイスラーによる児童文学の名作。何度か読んでいて、今回は、とくに労働とか支配や搾取の関係について考え込んでしまった。人間が自由を奪われて生きるということ。自分の意志で手足を動かす自由、人を愛する自由、自分の頭で考える自由すらなくして……。
主人公のクラバートは、親方の世界……知識と権力を受け入れて支配側につく選択もあった。それを拒否して、愛と人間性が頼りの不確かな世界へ戻ってゆく。緊張感をはらんだストーリーも充分面白いのだけど、人間と社会に対する深い洞察が、重厚な通奏底音みたいに響いてくる。感動的な傑作だと思う。
カレル・ゼマンのアニメも味があってよいです!
幻想の魔術師 カレル・ゼマン 「クラバート」 短編 「クリスマスの夢」 [DVD]

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