上村松園展

竹橋の近代美術館へ。上村松園の回顧展をがっつり拝見。年代順に代表作が並べてあり、とても見応えのある展示だった。100年以上まえに、職業画家として一人の女性がこれだけの作品を残していたのは、やっぱりすごいことなのでは?!と感じる。お客さんも圧倒的に女性が多かった。美術史におけるポジションがどうあれ、これからも上村松園の作品は、女性たちに愛され続けることでしょう。
今回いいなあと思ったのが、中国の佳人を描いた美人画で、40歳ごろの小品。芳醇さが感じられる。情念は昇華され、無我の境地に達したというか……どこか宗教的な、さわやかさがあった。
松園の生涯を通じて、画業の円熟期は60代のお仕事かな、という印象を受ける。(1930年代、昭和10年代ごろ)絵の具の保存状態もよくて色合いがきれいだし、すっきりした画面構成とか、着物のモダンな意匠なんかも、平成の今年の新作、と言われても違和感がないほど。華やかで、凛として、自信たっぷりで。人生の実りの時を迎えた、画家の到達点という感じだった。