2010-09-04 『ブリキの太鼓』 読書 ブリキの太鼓 (池澤夏樹=個人編集世界文学全集2)作者: ギュンター・グラス,池内紀出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2010/05/14メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 32回この商品を含むブログ (23件) を見るギュンター・グラスによる、奇怪な寓意にみちた長編小説。主な舞台であるバルト海沿岸の都市ダンツィヒは、現在はポーランド領グダンスクとなっている。主人公のオスカルは、父親がドイツ人なのかポーランド人なのかはっきりしない。所属のあいまいな都市そのものを象徴するような、ふしぎな語り手だ。ドイツだけでなく、東欧的な要素もたくさん散りばめられていて、SFっぽい雰囲気もあり、オスカルの皮肉で自嘲的な口ぶりが好みで、とても面白かった。 第一部のラスト、リフレインが効いている。太鼓の音が聞こえてきそうです。アクのつよいキャラクターが次々と出てくるのも楽しい。