『マイトレイ』『軽蔑』

ルーマニア出身、エリアーデの『マイトレイ』は超のつくメロドラマなのに、読み出したら止まらない面白さ。翻訳の文体もみずみずしい。語りのうまさ。展開もカンペキ。せつない青春映画の傑作を一本観せられたような感じでした。ラストは(事実を知ってしまうと)ちょっと演出しすぎ?と思いますが……。これが「世界文学全集」とは。現代のエンタメと比べても見劣りしません。
モラヴィアの『軽蔑』は、イタリアの若夫婦の破局を、夫の視点から丹念に(ねちねちと)描いてあります。イタリアの夫婦モノで、不仲にならない話って映画でも観たことないよ! しかも不仲になってからの描写の細かいこと。ものすごい粘着。ラブラブかモメてるか、どっちか両極端な人々なんだね……。