翻訳文学あれこれ

庭、灰/見えない都市 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)

庭、灰/見えない都市 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集2)

カルヴィーノの『見えない都市』を通して読んでみた。米川訳の典雅な日本語にひたる。哲学的な思考遊びが散りばめられていて、頭の体操をしてる気分になった。10代の頃に読みたかったなあ。
ダニロ・キシュの『庭、灰』は、細密画みたいな描写が面白かった。これも翻訳の言葉の選び方が美しくて、読んでいて心地よかった。映画のようにイメージが伝わってくる小説。改行が少ないとか、字面の読みにくさはさすがにちょっとつらかったけど……。
追記:この巻、もとはエリアーデとキシュで告知されていたっぽいのに、どうしてカルヴィーノになったのかなあ?
失踪者/カッサンドラ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-2)

失踪者/カッサンドラ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-2)

『失踪者』を初めて読む。元は『アメリカ』という題名で知られていた作品。これでカフカの長編3つを一通り読めたけど……読み切った!という達成感は全然なし(笑)。未完だからしかたない。
『カッサンドラ』は面白そうな題材だったのに、好みに合わなくて途中でザセツ。文体についてけなかった。古代トロイア戦争の話なのに、人物の性格も会話も、あまりに現代的すぎました。作者の自伝的要素が強いのかも。