難民という生き方

メカスの難民日記

メカスの難民日記

リトアニア出身の映画作家ジョナス・メカスによる青年時代の日記。とても面白かった。『どこにもないところからの手紙』では、この人のナイーブさが鼻につく気がしたものの……。若い頃の苦難の日々を知って、印象が改まりました。すみません。
メカスの感覚って本当に現代的。大戦期の混乱を生き延びたこの人は、世紀をまたぎ、自分のサイトでビデオ日記を更新するお爺ちゃんになっています。若かった頃と、やってることは基本的に変わってないんだなー。本質は「詩人」なのでしょう。居場所のない者が、外側から世界を眺めるとき、すぐれた詩が生まれてくるんだと思います。
困ってるひと

困ってるひと

そして時代も場所も違うけれど、思わぬ苦難におそわれて「難民」となってしまった若者の言葉、という点ではメカス日記に通じるものが。今ちょうど話題になっている、大野更紗さんの闘病記。これもヘビーな現実をがっちり受けとめ、軽やかな言葉で綴った傑作でした。
語り口があまりに面白すぎて、あれ?これってホントは深刻な話だったよね……と、途中で我に返ることしばしば。